*2014年3月30日長い一日のお話
モロッコの港町タンジール
バスターミナルに着いた頃、街は闇に包まれ
ターミナル内は凄まじい数の人間と大量の荷物と
それを目当てにした食べ物屋台の喧騒と
肉を焼く煙と嗅いだことのない臭いが充満していて
入ってはいけないような雰囲気を醸し出していました。
それでも、今日中にフェズに行くという私の意思は全く揺るがず
煙と人の波に揉まれながら、私は大声で叫びました。
Aller à fès!
フェズへ行く!
*フランス語の方が通じると思って
すると太ったおっちゃんが手をあげて
『こっちだ、こっちだ!』という風に手招きをしてくれました。
私は『フェズ2枚、バスは何時に出ますか?』ものすごく早口のスペイン語で
おっちゃんに『20:45発だよ』と言われ、ホッと一安心
私の時計はまだ19:40だったので、これで何か食べることができる
しかし、おっちゃんがひとこと
『お前の時計、遅れてるよ』
∑(゚Д゚)∑(゚Д゚)∑(゚Д゚)∑(゚Д゚)∑(゚Д゚)
時差があったりサマータイムがあったりで、時計がめちゃめちゃでした。
その時、おっちゃんの時計は20:40あと5分!!
その瞬間、無言でおっちゃんは大きな方のスーツケースを担ぎ
私は、小さい方のスーツケースと友人の手を握って
人ごみをかき分けバスへ全力疾走しました。
おっちゃんのおかげで、無事フェズ行きのバスに乗れたのですが
出発間際にフェズ到着時刻を聞いてビビります。
AM2:00だって(;´д`)
もう乗っちゃったからしょうがないけど、AM2:00ってすごくない?
日付変わってんじゃん
とにかく、先ずフェズの宿に到着がAM2:00すぎると電話をします。
宿のSaraは『バスを降りたら電話をくれ』いい人みたいでよかった。
安心したらお腹減った(。-_-。)
そういえばアルヘシラスでビールとアンチョビとオリーブをつまんだきり、何も食べていませんでした。
6時間近く走るので、トイレ休憩は何度もあったんですが
置いていかれそうで怖くて、食べ物を買いに降りることができなかった。
何度目かの停車時、バスの真横に美味しそうに炭火で肉を焼く屋台が見える
勇気を出して降りてみようか
バスが出そうになったら(前触れなくいきなり出発する)怒鳴って追いかければいいや
とにかく、お腹が減ってお腹が減って
買うのもはバスの中から見て決めていた。
羊のハンバーグみたいなやつ、大好きなトルコのキョフテに似てる
決めたらすぐ、夢中でバスを降りて、身振り手振りで注文しました。
もうタンジールと違ってスペイン語も通じない
大きな丸いホブスというパンを半分に切って、中に焼きたての肉を詰めて
わら半紙でくるっと包んで、はい,でき上がり!(ひとつ約40円)やすっ
超はらぺこだし、苦労して買ったし、しかも焼きたて
これ以上旨いものはこの世にないだろう
と言いたくなるほど、この肉入りパンは美味しかった

うとうとする友人と対照的に私はずーっとギラギラしていました。
なぜなら
フェズが終点とは限らない
幸運なことにフェズは終点でした。
人気も何もない、ただの空き地じゃん!というバスターミナルに到着
全員降りて、ああ終点なのね。と降りてみます。
世界3大ウザい国と言われる理由になった悪名高き客引きは
AM2:00過ぎなので、さすがにいませんでした。
いや、ひとりだけいて私のスーツケースを勝手に運ぼうとしたけど
『ノン、メルシー( *`ω´)💢』で退散しました。
野良犬しかいなくなった空き地、いやバスターミナルから宿に電話
『タクシーでブージュルード門?に来て、そこまで迎えに行く』
えー、タクシーなんかいるわけないじゃんと思った瞬間
向こうから、ボロい赤い小さな車がヨロヨロ走って来ました。
手をあげたら止まってくれたので
『ブージュルード、〇〇でぃるはむOK?』と言いながら
小さなトランクに小さい方のスーツケースを入れ
後部座席に大きなスーツケースを放り込んで友人を乗せて
私は助手席に乗り込んで、返事もまだの運転手に向かってひとこと
Vamos!行くぜ!
運転手さんがいい人でよかった
待ち合わせ場所のブージュルード門にはすぐ着きまして
暗がりからタクシーに近づいて来た、痩せた背の高い男性が
『Yuko?』と言った時の嬉しさは表現できません。
宿の主人Saraのリードで、迷宮と言われる深夜のフェズを歩き
とうとう、世界遺産の街フェズの
リヤドに到着しました。
スペインのホテルを出てから23時間
日付は変わっちゃったけど、まだ夜が明けていないので
今日中にフェズに着くという目的は達したことにしましょう。
とにかく長い1日でした、そして経験上最も楽しい旅程でした。
3時間ほど眠って、気持ちよく目覚めたあとは
異文化の香りが漂うテラスで
とびきり美味しいモロッコの朝食をいただきました。
予定通りにいかない旅って最高
無事フェズに着いたのですが、モロッコ珍道中がこれで終わる訳ありません。
次回のTABICON in Morocco 3 はモロッコの美食と
アトラス山脈を越えてサハラ砂漠へ行ったお話をしましょう。
seislios
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