深夜のHCU、呼吸の音が聴こえる

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救急受付で3階のHCUへ行くように案内され小走りで向かう

エレベーターに乗っても私の拳は握ったまま

ICUの前を通り、誰もいない病院の廊下を急ぐと

セキュリティで管理された自動ドアの向こうに

ドアがなくカーテンで入口を隠した個室がずらっと並ぶ

左側の二つ目の部屋のカーテンを開ける

人工呼吸器をつけたシューシューという音が聴こえる

                           生きてる

ホッとして腰が抜けるとはこういう事か

ヘナヘナと崩れ落ちそうな自分を慌てて立て直す

首をがっちりコルセットで固定され

人工呼吸器をつけて呼吸は荒いけど、とにかく

                           生きてる

お母さん?と恐々呼んでみると、少しだけ目を開ける

なにか言いたそうに、じっと私を見る

話しかけると1ミリほど頷いたり顔を横に振って意思表示をする

                意識もしっかりしてる

手を握ると最初は弱々しく、次第にしっかりと握り返してきた

                  麻痺もないみたい

顔はキレイだし、額にちょっと擦り傷はあるけど

母の顔も身体も私の記憶のまま

この夜のこの時ほど、私は嬉しくて幸せで

すべてのことに感謝したことはなかったように思う 

ひとりになったら気が緩んで泣いちゃうのかな

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seislios

自由でお金のかかないひとり旅が大好きで セールスパーソンをしながら、1年のうち4週間以上旅に出ています。 美味しいものとワインが大好き 得意料理は皮から作る餃子です。

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